私が一番近かったのに…
◇
「久しぶりのアルバイトだな」
私と愁は数週間ぶりにアルバイトを再開した。
皆からたくさん心配されて、たくさん励ましてもらった。
「そうだね。とても懐かしく感じるよ」
たった数週間休んでいただけで、ここまで時間の経過を感じるとは…。
色々なことが重なり、あっという間だった。休んでいた時間分、頑張って働こうと思う。
「そうだな。遠い昔のように感じるな」
「だね。さてと、頑張ってお仕事しますか」
先輩の行いは、決して忘れてはならない。
それでも今、私の頭の中を占めているのは、愁との初めての夜のことだった…。
彼女とは絶対に別れないと宣言され、あれから愁の気持ちはずっと変わらないまま、時間だけが過ぎていった。
今にして思えば、あれは期待しないでくれという、遠回しのお断りだったのかもしれない。
そんなことは分かっていたはずなのに、もしかしたら、本当は分かっていなかったのかもしれない。
見ないふりをしていれば、現実から目を背けられるような気がしていた。
だから、私はずっと現実から目を背け続けてきた。
そろそろ限界かもしれない。もし次に気持ちを伝えて、同じように躱されたら…。
今度こそ、この関係を終わりにする時なのかもしかない。このままでは私の心が爆発しそうだ。
まだ大丈夫と、何度も呪文のように、自分に言い聞かせてきた。
いつからか私は、いいところだけを切り取っていた。
今まで逃げてきたツケが、ここで回ってきたのかもしれない。
やっぱり私は、道を間違えたのかもしれない。あの時、愁は止めてくれたのに。
私は今でもはっきりと覚えている。愁はこんな関係を望んでいなかったことを。壊したのは私だ。
だから、終わり方はちゃんと自分で決める。
でも、もう少しだけ待ってほしい。その時はもう一度、ちゃんと告白する予定だ。
その前にまずは、私が勇気を持てたらの話だが…。