私が一番近かったのに…
夏祭り以降、距離が近くなり、お互いに遠慮することがなくなった。
彼の本当の気持ちを知ることは、まだ出来ず終いだが、彼に好かれていることだけは間違いないと思う。
愁は嫌いな相手とは、あまり関わりを持たないタイプだ。
それに一見、チャラそうに見えるが、実は一途で真面目だ。
私以上に愁に近しい存在なんていない。なんて呑気に構えていた。

でも、このまま告白しないなんてダメだ。なんとかして動き出さないと…。
自分の尻を自分で叩いたこともあった。その度にまだ覚悟が上手く持てず、ダメになることばかりを考えては、動き出せずにいた。

「幸奈、一緒に帰ろうぜ」

後ろから肩に腕を回され、抱きつかれた。ここ最近の愁は、やたらとスキンシップが激しい。
まるで、誰かに見せつけているかのように…。

「ちょっとまだ待って。帰り支度ができてないから」

慌てて荷物を整理し、帰り支度を済ませて、愁の元へと駆け寄った。

「お待たせ」

「おう。行くぞ」

毎回、愁と手を繋いで帰っている。
私はこの時間が好きだ。愁を独占できるから。

「幸奈はさ、好きな奴とかいないの?」

最近、愁からよく質問されるようになった。
いつもより踏み込んだ質問だった。この質問に私の気持ちは、今すぐにでも溢れ出してしまいそうになった。
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