私が一番近かったのに…
「…どうしたの、突然?」

ついに愁の方から告白?!…なんていう淡い夢を期待してしまった。次の言葉を聞くまでは…。

「女の子は皆、恋バナが好きだからさ。幸奈も恋バナ好きかなと思って」

自分が期待していた方向性になることはなかった。
期待していた自分がバカだった。そんな夢みたいなこと、そう何度も起こるはずがなかった。

「なるほどね…。愁こそ好きな人とかいないの?」

自分のことは答えようとしないくせに、人には質問ばかりしてしまう。
きっと愁は、私の質問には答えてくれないであろう。それは私が愁の質問に答えなかったから。
ってきり、誤魔化されるとばかり思っていた。
でも、この時の愁は、少しいつもと様子が違っていた。いつになく、真剣な表情だった。

「いるよ。その子しか目に入っていない」

私の目を見て、そう言った。まるで狙った獲物を逃さないかのように…。そう訴えているかのように感じた。

「へ、へぇー。そうなんだ。
…あ、あのさ、今度の休み、空いてる?」

あまりの気まずに、また話を逸らしてしまった。
その時、一瞬、愁が悲しい顔を見せた。私はその顔から目が離せなかった。
優しい彼の悲しい顔は正直、かなり堪えた。

「後で確認するから、少しだけ待っててくれ…」

これは絶対に予定が確認できている上で、答えをはぐらかされてしまったパターンだ。
悲しい瞳をさせてしまった。どうしてあの時、話を逸らしてしまったんだろう。本当、バカだなぁ…私は。

「うん、分かった。待ってるね」

きっと愁は週末の予定を、私には教えてくれないであろう。
私はそれでも待つことにした。そうすることしかできなかった。
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