私が一番近かったのに…
副店長の言うことがもし、事実だとしたら、今すぐあんな女とは別れて、私を早く彼女にしてほしい。

「そうか?ここだけの話だが、店長が大平のことを送るように頼んだみたいになってるけど、あれ岩城が店長に頼んでお願いしたんだ。
いきなり俺から言ったら、変に思われるかもしれないんで、店長からお願いする流れにできませんか?って…」

そんな話、初めて聞いた。だから、あの時、いきなりお願いされても嫌がらなかったのだと納得した。
いくら上の人にお願いされたからとはいえども、あんな遅い時間に、たかが同じ方角だというだけでお願いされたら、嫌な顔をするのが普通だ。今にして思えば、あの時から愁は、私に好意を寄せていたことになる。

「その前に、大平がどこに住んでいるんだ?とか、大学はどこに通っているんだ?…とか、店長に色々聞いてたぞ。
きっと一目惚れだったんだろうな。猛アタックしてたぞ。周りにバレバレなくらいにな」

それも昔の話に過ぎない。現に愁には彼女がいる。
私を好きな気持ちは、友情へと変化している。それ以上に変化することなんて、この先ないに等しい。

「余談だが、大平、入った時から男性陣に人気で。皆、お前のことを狙ってたぞ。焦った岩城は、出し抜くために頑張ったんだ。教育係に立候補したぐらいだからな。もしかしたら、まだ大平を狙う男はいるかもな」

私がそんなにモテているなんて、知らなかった。自分がどのぐらいモテているかなんて、自分で知るわけないか。
まさか、愁が教育係に立候補していたなんて。そんなに私に必死だったんだ。たとえ過去の話だとしても、嬉しかった。
< 203 / 346 >

この作品をシェア

pagetop