私が一番近かったのに…
そうこうしているうちに、あっという間に時間がやってきた。
準備を済ませて、愁の元へと向かう。美味しいと言ってくれることを期待して……。


           ◇


「いらっしゃいませ…、ってあれ?幸奈?」

周りから不思議がられた。それもそうだ。わざわざ、お休みの日にバイト先に足を運んだのだから。
最初は間違えて出勤してきたのかと思われた。全く…といった顔をされたが、事情を話すと理解してくれた。

「今日は授業で必要なものをコピーしに来たの。あと、愁に頼まれたものがあって、それを渡しに」

「そうだったんだ。どうぞどうぞ。
ちなみに愁くんは今、休憩中だよ」

「ありがとう。でも、実は本人から直接聞いてて、今、休憩中なのは知ってたんだ。
それとお願いがあるんだけど、愁が終わるまで裏で待たせてもらっても構わないかな?」

図々しい奴と思われたかもしれない。それでも今日だけは。お願いします。居させてください。

「全然構わないよ。幸奈ちゃんだもん。ここで働いてる人なんだから、自由に使っていいんだよ。それじゃ、邪魔者が来ないように見張っておくね」

もう。変な気を遣わなくてもいいのに…。
この子は私と同い年の女の子。私より少し先に働いているため、一応、先輩にあたる。
でも同い年なので、敬語はナシということになっている。
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