私が一番近かったのに…
「幸奈、口を大きく開けろ」

キスするのかな?愁がどんなキスをするのか、早く知りたい。
だから私は、口を大きく開けて、キスの準備をした。

「これからはちゃんと俺の言うことを聞くんだぞ」

「分かった。愁の言うことをちゃんと聞くよ」

「それじゃ、ご褒美にキスしてやるよ」

何の合図もなく、いきなりキスが始まった。
キスって、こんなに気持ちいいものだと知らなかった。
あまりの気持ちよさに腰が砕けてしまい、立っているだけで精一杯だった。

「…しゅう………、」

「幸奈って甘い声出すんだな。その声、堪んない…」

初めてのキスだったのに、まさかいきなり激しいキスをしてくるなんて…。

「初めてだから、よく分からない…」

全部あなたが初めてだ。私はあなたしか知らない。

「初めてだったのか?その反応は期待大だな。早くベッドに行こう」

次第にお互いの呼吸が荒くなっていく。これがイケナイ行為だと分かっていても、私は興奮していた。
初めてなのに、彼氏でもない人と…なんて。きっと愁は私を抱いてしまったら、もう今までのような優しい愁では、なくなってしまうかもしれない。
分かっていても懲りない私は、それでも愁の傍に居たいと思った。

「でも、その前に…」

もう一度キスをされた。唇を塞がれてしまったので、上手く息をすることができなかった。

「幸奈、ベッドに行こうか」

息絶え絶えなまま再び腕を掴まれて、ベッドへと連れて行かれた。
そのまま強引にベッド‎の上に押し倒された。もう引き返せない。ここまできてしまったのだから。
だってこれから先もずっと愁の傍に居るためならば、私は何だってすると決めたから。
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