天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす

 このまま、幸せになれるよね……。

 嵐さんと本当の夫婦になれる日は目の前まで迫っているけれど、不安がすべてなくなったわけではない。

 心に引っかかっているのは、昇さんとノアさんの存在だ。

 昇さんの件は、 警察に相談してすでに二週間以上が経った。

 警察からの知らせは特にないが、昇さんからの連絡は途絶えているのですでに警告は出されたと考えていいだろう。

 昇さんに関してはそれで解決かもしれないが、ノアさんは?

 彼女は間もなく正式にブルーバードエアラインのパイロットになり、嵐さんと同じ制服を着て、コックピットの隣同士に座る。

 私には見ることのできない彼の横顔を独占するのだ。

 プロのパイロットが仕事中に変な雑念を抱くはずがないのに、お酒に酔った私はその辺りの分別がつかなくなっていた。

 終わってしまった口づけをもう一度求めるように、嵐さんの腕をぐっと引き寄せ、背伸びをして唇を合わせた。嵐さんも抵抗せず、静かに目を閉じる。

 けれど……ただ嫉妬をぶつけただけの不器用なキスが、焼け焦げるような胸の不快感を収めてくれることはなかった。

< 123 / 229 >

この作品をシェア

pagetop