天才パイロットは契約妻を溺愛包囲して甘く満たす

 目指しているのは、第三ターミナル内のマーケットプレイス。江戸時代の東京をモチーフにした和風の街並みが再現されており、人気の観光スポットだ。

 土産物店や飲食店が軒を連ねているそこには、先日露木さんに好きだと話した老舗和菓子店、道重堂もあるのだ。

 今日は昇さんの一件で疲れてしまったから、昨日買いそびれた和菓子を買って帰り、お茶でも飲みながらひと息つきたい。

 古い街並みを写真に撮る外国人観光客を横目に、道重堂の看板を目指す。その途中で、バッグに入れていたスマホが振動した。

 まさか昇さん? いや、彼の連絡先はブロックしたからそれはないよね……。

 大丈夫とわかっていても、スマホを出してこわごわ通知を確認する。

 現れたメッセージの通知に【父】と表示されたのを見て、肩の力が抜けた。すぐに内容を確認する。

【露木くんに、昼間のトラブルの件をかいつまんで聞いた。ひとりで帰るのは危険だが私はまだフライトが残っているから、オフィス業務だった露木くんに紗弓を家まで送るよう頼んだ。江戸舞台の前で待て】

 一通ごとに長文をよこすのは父の癖。それは別にいいのだが、よくわからない内容に困惑する。

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