病弱な妹に全てを搾取されてきた令嬢はもう何も奪わせない
結局、コレットはディオンと一度、顔を合わせただけで婚約は結ばれた。
もちろんコレットの意見を聞かれることはない。
そしてディオンはミリアクト伯爵邸に通うようになる。
コレットはなんとかディオンの正体を暴こうと奔走したが、自由に動ける彼の方がいつも上手だ。
彼はコレットを警戒してか、町に出るのをやめて〝いい婚約者〟を演じている。
ディオンを警戒するように言っても両親はまるで聞く耳を持たない。
婚約者として上辺だけの関係もリリアーヌには違って見えたらしい。
『コレットお姉様が羨ましい!』『わたしにも婚約者が欲しい』
次第にそう言うことも増えていく。
しかし幼い頃から病弱で邸から出てこない彼女を進んで娶る貴族はいない。
何故なら貴族たちにとって跡継ぎを産むことが何よりも重要だからだ。
病弱のリリアーヌには無理だと判断しているのだろう。
しかしディオンは次第に両親に促されるようにしてリリアーヌの部屋によく足を運ぶようになる。
リリアーヌの希望で二人きりで話すことも増えていく。
妹であれど婚約者でもない男性と部屋の中に二人きりで。
(あの人たち、リリアーヌが好きすぎて常識までわかんなくなったのかしら)
ディオンもリリアーヌがミリアクト伯爵家を支配していると学んだようだ。
次第に他の家族や侍女たちと同様に、コレットに気遣うこともなくなっていく。