病弱な妹に全てを搾取されてきた令嬢はもう何も奪わせない
もうリリアーヌの咳が出ていなくて何年経つだろう。
熱も出ておらず、薬も飲んでいない。
食事だって、お菓子だって、残さず食べているではないか。

侍女も執事も両親も、絶対的な信頼をリリアーヌに寄せている。
彼女はベッドの上からミリアクト伯爵家を支配していた。

今はそれでいいのかもしれないが、この先の成長は見込めない。
リリアーヌは何もできないままだ。
両親や侍女たちはそのことに気づかずに彼女を甘やかし続けている。
狭い狭い檻の中で女王様になったところで何も意味はない。

(リリアーヌはずっとここで生きていくつもりなのかしら)

コレットはそんなリリアーヌをもう『羨ましい』とは思わなかった。

けれど何もかもを諦めて、そんな人たちに従っている自分が一番嫌いだった。
毎日、朝起きると心の中でこう問いかける。
『本当にこのままでいいの?』
しかし答えは出ない。この家を出てしまえばコレットは無価値になってしまう。
それが怖かったのかもしれない。

そしてディオンに影響を受けたのか、リリアーヌは初めて社交界に出ることを決めた。
昼の部は貴族の令息令嬢達が集い、夜は大人たちが参加する。
国中の貴族たちが集まる盛大なパーティーだ。


「皆、リリアーヌの美しい姿に感動するだろう」

「わたしも素敵な王子様に出会えるかしら」

「きっとリリアーヌを見初めてくださるわ!会場で注目されるわよ」

「ふふっ、楽しみだわ!」
< 23 / 234 >

この作品をシェア

pagetop