病弱な妹に全てを搾取されてきた令嬢はもう何も奪わせない

「どうやら食事の時間のようですね」

「食事……?」

「昨日はコレットさんがたくさん食べてくれたと聞いて嬉しかったです。では僕はこれで……」


コレットが座っているベッドの前で膝をついた青年はいつものようにニコリと笑った。
手の甲に口づけて立ち上がる姿を見てコレットは呆然としていた。
青年の柔らかい唇が触れた場所が熱い。

青年は背を向けてしまう。
扉が開くとメイメイが深く腰を折っていた。
この人のことをもっと知りたい……そう思ったコレットは青年を視線で追いかけていた。


「……コレット?」

「あっ……」


コレットは無意識に青年の袖を掴んでいたようだ。
引き止められたことが意外だったのか、青年は一瞬だけ目を見張る。
しかしすぐに優しい笑顔に戻った。
そして振り向くと再びコレットの手を握りながら視線を合わすように膝をついた。


「コレット、どうかしましたか?」

「いえ……あの……」


自分の行動に驚いたコレットは口篭ってしまう。
青年はコレットの言葉を待っているようだ。

(ど、どうしましょう……わたくしはなんてはしたないことを)

コレットの頬が恥ずかしさから赤く染まっていく。
慌てていると青年は後ろを振り向いてメイメイと視線を送る。
するとメイメイはワゴンを置いて部屋から出ていってしまう。
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