かつて女の子だった人たちへ
“現場”と呼ばれるライブハウス。
入るのは緊張した。うつむき加減に他の客にまぎれて入る。
デビューライブで100人以上いた客は、開演15分前で40人程度。その全員の視線が気になった。イメージチェンジをしていても、バレているように思えた。また隠し撮りをされて、TWXで晒されるのだろうか。

(それでもレイキに会いたい)

唇を噛み締め、拳を握る。会場の中央からやや後方にうつむき加減に立って開演を待つ。

「あの」

声をかけられ、心臓が止まりそうになった。
おそるおそる視線だけ送ると芽里と同じくらいの背格好の女性がいた。レースのカットソーにVネックのジャンパースカート。アシンメトリーな前髪と毛先にラベンダーカラーを入れたミディアムボブ。そばかすが少し浮いている愛嬌のある雰囲気の女性だ。

「デビュイベ、大変だったよね。私、敵とかじゃないんで」

ぼそっと周囲に聞こえないように言ってくる彼女に、芽里はようやく顔をあげた。

「普通に楽しみに来たのに、巻き込まれちゃった感じでしょ。気持ちわかるから、声をかけちゃった。嫌な思いしたよね」
< 100 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop