かつて女の子だった人たちへ
カウンセリング当日、雪奈は少々緊張していた。ビデオミーティングで行うので、スマホ越しの面談にはなるが、ずっと画面の向こうに見てきた人と会うのはドキドキするものだ。
女優を目指していた時分、モデルや俳優を間近で見たことだってあったけれど、そのときよりずっとそわそわしているかもしれない。

『初めまして。ユキナさん』

タブレットでビデオミーティングアプリを繋ぐと、彼女は親しみやすい笑顔でこちらを見つめた。相変わらずしっかりメイクを施し、ヘアセットもばっちり決まっているところが、雪奈には好感がもてた。ナチュラルが売りでもがさがさの肌でノーメイクな女性では尊敬できない。クレマチスのような身なりに気を遣っている人の方がいい。

「初めまして。今日はお時間をありがとうございます」
『いえいえ。サロンの新規入会者さんには優先的にお話をしたいと思っています。どんなサロンかご紹介したいですし、お互い人となりをわかっておいた方がいいでしょう』
「先日、ライブ配信を見ました。仲のいいサークルって感じなんですね」
『そうなんです。みんなでごはんを食べたり、星を見に行ったり、ボーリングをしたりなんてこともあるんですよ』

和気藹々といった雰囲気で始まったカウンセリングだった。最初は固かった雪奈も、クレマチスの話術の上手さもあり徐々に打ち解け、友人同士のようになっていった。十五分という短い時間は彼女の厚意で三十分に延長された。

『ユキナさんは私の配信を見てくださっていたんですよね。もともとスピリチュアルな世界にはご興味が?』
「いえ、ちょっと悩みというか、つらいことがあって」
『それは……差し支えなければ教えていただけますか?』

雪奈は数瞬言い淀み、笑い話のように軽い口調で言った。

「夫が若い子と遊んじゃって。注意したらすぐにやめたんですけど、……それが結構つらくて」
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