かつて女の子だった人たちへ
第3話
ミーティングは平日の日中と土日の夜に二部制で行われることが多いそうだ。雪奈が参加したのは平日昼の部だ。場所は新宿にあるホテル内の少人数向けの宴会場。約束どおり雪奈は開始時刻の一時間前にホテルに到着した。今日の主催者であるクレマチスはラウンジで待っていた。
「ユキナさん?」
テーブルに近づくと、クレマチスがひとり掛けのソファ席から立ち上がった。
「クレマチスさん、今日はよろしくお願いします」
頭を下げる雪奈を、クレマチスがぎゅっと抱きしめた。雪奈は驚いて顔を上げる。彼女は感極まった表情をしていた。
「やっぱりそうだわ」
「え……」
なんだろう、何か変なところがあっただろうかと考える雪奈に、彼女は涙ぐんだ目尻を拭って身体を離した。
「ごめんなさい。私、少しだけ前世が見られるの」
前世というワードに、少々ぎょっとした。やはり霊感商法か何かだろうかと身構えてしまう。促されて席に着きながら、雪奈はクレマチスと自分の温度差にどうこの場を治めて帰ろうかを模索し始めた。
「先日のカウンセリングで画面越しにお会いしたときから、なんとなく感じていたんだけれど、実際にユキナさんに会って確信したわ。私たち、前世では深いつながりがあったのよ」
「繋がり……ですか?」