かつて女の子だった人たちへ
定期的にランチ会をしている仲のいいママたち六名のメッセージアプリグループに【フィンスタライブをしてみるので見てもらえたら嬉しい】とメッセージを送る。

【最近ハマッてるオーガニック食について話そうかなと思って。練習みたいな感じなので、気軽に見てもらえると嬉しいな】

返事は続々ときた。【絆くんママ、すごーい】【絶対見る! フィンスタライブだよね】【オーガニックごはん、興味あったんだ~】
好意的なメッセージの数々に、雪奈はにんまりと微笑んでしまった。さらには、オンラインサロンのメンバーからもメッセージが届く。配信を楽しみにしているという内容ばかりで、雪奈はすっかり嬉しくなった。

「ママ?」
「ごめんね、絆。今夜はちょっと早めに寝て」

俊夫が出張の金曜夜、絆が寝たあとにフィンスタライブをスタートさせる予定にしていた。当日、早めに寝室に送ると、絆は少し不安そうな顔をした。

「ママ、今夜もお出かけ?」
「今夜もって……夜にお出かけしたのなんて二回か三回くらいじゃない」

そんなに頻繁に出かけていないし、出かけるときは必ずシッターを呼んでいる。

「おうちの中でタブレットを使って、会議しなきゃいけないの。だから、寝室にママ~って来ちゃだめよ」
「うん……わかった。会議、頑張ってね」

絆はようやく納得してくれたようで、おとなしくベッドに入った。雪奈は息子の額にキスをして部屋を出る。
予定した時刻の通りに、フィンスタライブをスタートさせた。

「こんばんは。ユキナです。初めてライブをするので、変なところがあったらごめんなさい」

見ているよの意味の通知がいくつも届く。ひとりじゃないのだと気持ちが上向き、背中を押されるような心地だ。
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