かつて女の子だった人たちへ
「……緊張してたんだ」

しかし、思った以上に上手にできたのではないだろうか。
メッセージアプリにはオンラインサロンのメンバーから配信の感想やねぎらいのメッセージが来ている。ふと、ママ友グループの方が無言であることに気づいた。何人か見てくれていたはずだ。
グループのトーク画面を開き、ライブを見てくれてありがとうというメッセージを打ちこむ。既読はすぐに三件ほどついた。数分後にママ友のひとりからメッセージ。

【絆くんママ、すごくいい声で聞きやすかったよ】

他のママ友からも【わかる】【内容も参考になった】などなどのメッセージが届く。雪奈はホッとした。一般の友人たちにも受け入れてもらえたようだ。
一歩踏み出してよかった。こうして少しずつ、自分と周りに変化を生み続けていきたい。それが特別な自分の使命なのだから。


すべてが順調にまわり始めた予感がする。
雪奈の心は穏やかだった。内側に巣食っていた怒りや虚無、焦燥は落ち着き、俊夫にも優しく接することができる。俊夫が夫婦関係を改善したいと思っているなら応じてもいいと考えられるようにもなってきた。いずれは雪奈から夫婦生活について、声をかけてみるつもりだ。
治癒者としての活動はまだ動画配信くらいしかできていないが、オンラインサロンの仲間たちの反応は回を追うごとに好評になってきている。最初は生活の心がけ程度だった配信内容は、徐々にスピリチュアル要素を入れるようになってきた。
クレマチスのような伝道者になりたい。物事の本質を見抜ける人たちにはきっとわかってもらえるはずだ。
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