かつて女の子だった人たちへ
敬士はリビングのソファで、朝の番組を見ていた。
民放の若い女性アナウンサーが出ている。普段はこの番組に出ていないから、代打か何かだろう。
「この子、可愛いよね」
朝の仕度はすっかり終わったようで、敬士はコーヒーを飲みながら令美に相槌を求めてくる。
「え? 鼻丸くて低いし、ブスじゃん?」
思わず即答していた。
「そこが愛嬌あっていいっていうかさ」
「へぇ、敬士は愛嬌があるタイプがいいんだ。私もそっちに路線変更しようかな」
言葉はしおらしいが、態度は圧をこめて言うと、敬士があわてたようにこちらを見上げた。
「何言ってんの、レミが一番好みの顔に決まってるじゃん」
令美は敬士の髪に触れ、すがるように目を細めて見下ろす。
「私の前で他の女の子を褒めたら嫉妬しちゃうんだよ? 寂しい思いをさせないで」
「そういうところが可愛いんだよな、レミは」
敬士が令美を見つめる目には恋の感情がある。交際間もない蜜月期間、当たり前だ。
もう弓など社内で会ったときくらいしか思い出しもしないだろう。
その後、令美自身も弓とも連絡を取り合っていない。しかし、弓のことだ。身の程を知って、敬士にちょっかいをかけはしないはず。
「そうだ、レミ見てよ」
敬士がスマホを取り出して見せる。知らないアプリの画面にグラフが表示されてある。ほとんど英語なので、パッと見は内容がよく把握できない。
「これ、なに?」
「FXだよ。外国為替取引ってやつ。名前くらいは知ってるだろ」
それは聞いたことがある。しかし、よくわからないというのが本音だ。
そして敬士が投資をやっているとは思わなかった。
民放の若い女性アナウンサーが出ている。普段はこの番組に出ていないから、代打か何かだろう。
「この子、可愛いよね」
朝の仕度はすっかり終わったようで、敬士はコーヒーを飲みながら令美に相槌を求めてくる。
「え? 鼻丸くて低いし、ブスじゃん?」
思わず即答していた。
「そこが愛嬌あっていいっていうかさ」
「へぇ、敬士は愛嬌があるタイプがいいんだ。私もそっちに路線変更しようかな」
言葉はしおらしいが、態度は圧をこめて言うと、敬士があわてたようにこちらを見上げた。
「何言ってんの、レミが一番好みの顔に決まってるじゃん」
令美は敬士の髪に触れ、すがるように目を細めて見下ろす。
「私の前で他の女の子を褒めたら嫉妬しちゃうんだよ? 寂しい思いをさせないで」
「そういうところが可愛いんだよな、レミは」
敬士が令美を見つめる目には恋の感情がある。交際間もない蜜月期間、当たり前だ。
もう弓など社内で会ったときくらいしか思い出しもしないだろう。
その後、令美自身も弓とも連絡を取り合っていない。しかし、弓のことだ。身の程を知って、敬士にちょっかいをかけはしないはず。
「そうだ、レミ見てよ」
敬士がスマホを取り出して見せる。知らないアプリの画面にグラフが表示されてある。ほとんど英語なので、パッと見は内容がよく把握できない。
「これ、なに?」
「FXだよ。外国為替取引ってやつ。名前くらいは知ってるだろ」
それは聞いたことがある。しかし、よくわからないというのが本音だ。
そして敬士が投資をやっているとは思わなかった。