ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。
電子化されるのもいいけれど、昔ながらのやり方でドキドキしながら明細を開くのはひとつの楽しみでもあった。
ひと月期間ご苦労さまでした。

そんな風に自分を褒めてあげたくなる。
だけど封筒から明細書を取り出した日奈子はゆるゆるとため息を吐き出した。

派遣社員の日奈子は時給制で仕事をしていて、そんなに高収入ではない。
それはわかっていたけれど、普通に生活できるくらいの収入はあった。

……今までは。
カズに恋をしてからは月に何十万という出費が重なっていて、これだけの収入ではとても生活できなくなっているのだ。

「ちょっと小平さん、暗い顔してどうしたの?」
日奈子が盛大なため息を吐いていると隣の席の先輩が心配そうに声をかけてきてくれた。

「いえ、別に」
慌てて明細を封筒にしまって笑顔を浮かべる。

収入が低くてあからさまに落ち込んでいると思われるわけにはいかない。
先輩の彼女も派遣社員だ。
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