ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。
おばさん
日奈子の昼間の顔は普通のOLだった。
アパートから数駅先にある中小企業で、派遣社員として働いて3年目になる。

「今日はなにするー?」
「カラオケでも行く?」

廊下を行きかう女性社員たちの楽しそうな会話に、今日が給料日だったということに気がついた。
日奈子は更衣室で事務服に着替え、すぐに自分の部署へ向かった。

日奈子の仕事は主に書類作成で、与えられた資料を元にパソコンとにらめっこをする日々だった。
「小平さん、明細」

部長にそう言われて席まで行くと、封筒に入れられた給料明細を手渡しされる。
最近は電子化が進んでいるけれど、この会社では昔ながらのやり方を続けていた。

「ありがとうございます」
日奈子は封筒を両手で丁寧に受け取り、自分の席へと戻った。
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