ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。
外の世界とは一線を画すような空間に、日奈子はなんだか嬉しさを感じる。
この、ノアールの中の一員になれたような気がしてくる。

床用のモップを片付けて、今度はテーブルふきに取り掛かる。
ボーイの1人が日奈子の掃除を手伝ってくれた。

「ヒナ、今日はお客様のお見送りを一緒にしてくれ」
開店前に光からそう指示されてヒナは驚いて「えっ」と言ったきり立ち尽くしてしまった。

てっきり一週間くらいは掃除だけで終わると思っていた。
こんなに早くお客さんと関わることができるなんて、想像もしていなかった。

「お前は嬢の後ろについてお店を出て、丁寧にお辞儀をするだけでいい。とにかく少しずつ顔を覚えてもらうんだ」
「わ、わかった」
緊張しながら頷く。
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