ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。
お見送りの手伝い
ホスト店でも自分の過去について色々と話してくれるキャストはいる。
だけどそのほとんどが実際の出来事ではなくて、こうして作られたものなのかもしれない。

カズも、カズという男を演じていたのだと今ならなんとなくわかる。
日奈子はこの日もお店、ノアールの掃除から始まった。

丁寧に店の隅っこの方まで掃除をする。
「ヒナちゃんすっごくピカピカ! 頑張ってるわね」

半分ほど掃除を終えたところでマキが出勤してきた。
嬢たちが来る前にピカピカに仕上げてしまいたかったけれど、時間をかけて掃除しすぎたみたいだ。

ひとつのことに熱中し始めると他のことが見えなくなってしまう。
それは日奈子の性格の現れでもあった。

「おはようございます、マキさん」
すでに外はオレンジ色に染まっている中、朝の挨拶を交わす嬢たち。
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