ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。
こころなしか頬が少し赤く染まり、それから何度か咳払いをした。
それを合図にしてヒナはお辞儀をして席を立つ。

男性客はマキの言葉に耳を傾け、マキのつけた火でタバコを吸い始めた。
その様子をヒナは呆然として見つめる。

「あの人はああいう人なんだ」
不意に後ろからそう言われて振り向くと、いつの間にか光が立っていた。

「マキを指名するんだけれどナンバーワンでなかなか会えない。その間に別の嬢に文句をつけて憂さ晴らししてるんだな」
「知ってたの!?」

「もう何度も来店してる人だ。そろそろ出禁にしようかと思っていたところだけれどな」
「え、そうなの?」

ヒナは再度驚いて聞き返す。
「できるだけどんな客でも受けいれたいけど、高級店としてはそうはいかないときもある」

そういう光は悩ましそうに眉間にシワを寄せた。
「それに、新人のお前にほとんど何の説明もなく客を押し付けた嬢たちには教育し直さないとな」

光はそう言うと、ヒナの頭をポンッとなでて忙しそうに事務所へで向かったのだった。
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