ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。
光の彼女!?
風邪が治ったヒナは以前よりも絶好調だった。
風邪を引いて苦しんでいたことを会話のネタにしてお客さんを笑わせたり、初めて部屋に医師を呼んだことを自慢気に話したりした。

だけどその会話の中でも言葉遣いには気をつけていた。
丁寧に、そして優しく、包み込むような笑顔と共に。

迷惑なお客さんに対してはムッとした表情を見せて相手の手を振り払うこともあった。
「やめてくださいな?」

しなを作ってそう言うと、お客さんは鼻の下を伸ばしたまま手をひっこめた。
ヒナの『やめてくださいな?』は店の中でも名物になりつつあり、それを聞くためだけにわざわざヒナを指名してくるお客さんも出てきたところだった。

「京都旅行へ行ったのは正解だったみたいだな」
仕事終わりの住居スペースで光が日奈子を見てそう言った。

「勉強させてもらいました」
日奈子はうやうやしく頭を下げて礼を言う。
< 222 / 264 >

この作品をシェア

pagetop