ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。
「それとも新しい恋愛をしてみるとか」
「新しい恋愛?」

思ってもいない言葉に日奈子はむせそうになった。
「だってさ、いつまでも同じ人を思い続けるのって大変じゃない? 誰か他にいい人がいたりしないの?」

由利が運ばれてきたパスタを口に運ぶ。
日奈子はそれをぼんやりと見つめながら頭の中に数人の男性の顔を浮かべてみた。

そのどれもがカズと同じホスト店の男の子たちばかりで、ゆるゆるとため息を吐き出した。
「いないかも」

「そっかぁ。あの職場おじさんばかりだもんね。もっといいところに派遣してくれればいいのにねぇ」
由利が不満そうに唇を尖らせる。

出会いが少ないのは事実だけれど、きっとそれだけじゃない。
今の日奈子にはカズしか考えられなかったからだ。

「由利みたいに推しと結婚できるように頑張る」
「うん、そうだね! 次はクリスマスイベントもあるだろうし、日奈子が一番いい女に見えるように着飾って行きな!」

由利はそう言い豪快に笑ってみせたのだった。
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