財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す

御曹司と上司

 
 ここは榊原財閥の本部ビルの最上階役員フロアだ。この役員フロアは内装も豪華で別世界。緊張感がある。

 専務理事のこの部屋は、広い窓からお天気がよければ遠くの山やタワーまでよく見える。

 もっとすごいのは財閥総帥の部屋だ。一度だけ、朝に入ったことがあるが本当にすごい。

 東南の角部屋ですばらしい眺めだった。どこかの展望タワーかと思うくらい。入場料金が取れそうだった。

 それに比べると専務の部屋は普通なのかもしれないが、一応東向きなので午前中は日が入り、朝が弱い私でも少しはやる気がでる。

 そんな専務の部屋をせっせと朝のうちに片付けていたら、御曹司秘書から連絡があった。嫌な予感しかしない。

 思った通りだった。御曹司が急に、専務と午前中のうちに出来ればお会いしたいと言っているらしい。

 また始まった。彼がスケジュールを思いつきで変更するのは実はよくあることなのだ。

 しかも相手が彼では無理ですと言いづらい。周りはそんな彼に巻き込まれて困っている。
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