財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す

 パールホワイトのハイヒールを勧められ、それに決めた。

 髪はシンプルな夜会巻きにされた。そこへ白い胡蝶蘭があしらわれている。鏡を見た。これが私?驚いて立ち尽くした。動くだけで周りに薄いパープルのフリルの雲ができる。そのせいで、ドレスの下地はパールホワイトなのだが、パープルのドレスにも見えるのだ。

「あら、すごい。ピッタリじゃない。サイズも、雰囲気も……。こんなこと、榊原様から事前に頼まれたのは初めてよ。あなたは榊原様にとってそういう方なのね。これからも長いお付き合いになりそうね。どうぞよろしく」

 担当の女性はにっこりと笑った。

 鏡の中へシルバーのタキシードに着替えた王子様が映り込んだ。崇さんだった。そして私に近づいて来た。

 鏡の前に立つ私の両肩に手をやって一緒に鏡を後から覗いた。嬉しそうにひと言。

「とても綺麗だ。やはりピッタリだったな」

 そして、胸元から白いハンカチに包んだ何かを取り出した。私の首回りにそれを付ける。
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