財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す

和解


 あのクルーズから明けた月曜日。彼が外出中に辰巳さんから呼び出された。

 ついていくと総帥の部屋だった。逃げようとしたら辰巳さんに腕を掴まれて観念しろとひと言。

 引きずられて部屋に押し込まれた。そして、向かい合って第一声。総帥にこう言われた。

「香月さんは本当に崇が相手でいいのかね?」

「え?」

「君が崇をどう思っていたかはわからんが、崇はどうせ最初から、君を秘書というより交際相手にしたかったんだろう」

 私は驚いて総帥の顔を見た。

「……あの、それは……」

 総帥は私を見ながらニヤッと笑った。見たことのある嫌みな笑い方……ろくでもないことが親子は似るというのは本当だった。
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