財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す

酔っ払いのキス

 
 フロアへ入ると、崇さんから呼ばれた。

「香月、ちょっと……」

「はい」

 部長室へはいると、彼が机の前に座って言った。

「お前、ここの引き継ぎ、一日で何とか出来るか?」

「はい。支社長秘書は元々やっていた人に戻すようお願いすれば引き継ぎの必要はありません。それに、坂本課長のことは、いずれ部長になったとき秘書へつくであろう難波さんに引き継ぎします。それは一日あれば大丈夫です」

「そうか。悪いが俺は週明けに本部へ戻る。香月は翌日の火曜日には本部へ出て欲しい」

「わかりました。でもこんな急に本部へ戻って、私の席ってあるんでしょうか……」

「だから俺が先に戻るんだよ。ぐちゃぐちゃ言う奴は俺が一刀両断して、お前の席を作っておくから安心しろ」
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