私の彼は、一途な熱血消防士

出会い 2

 幼稚園生活が始まり、最初の数日は毎年恒例の各クラスを見学したり、園内探検と称して職員室や遊戯室の場所を確認したりする。
 新入園児たちが幼稚園に不安を持たないよう、我々職員は神経を尖らせている。年中クラスのみんなはスタートが同じだけど、中には年長クラスでも家庭の事情で途中から転園してくる子もいる。だから、年齢に関係なく、全員同じように接する必要があるのだ。

 今は午前中保育で短時間の登園でも、子どもたちが少しでも幼稚園が好きになってくれたら嬉しく思う。
 そして今日もあっという間に降園時間を迎え、園児たちが保護者に連れられて帰宅する。

 お迎えにくる保護者の中には、おじいちゃんやおばあちゃん、お父さんやお母さんもいるので、園児たちだけでなく保護者の顔を覚えるのも仕事の一つだ。

 お迎えがくると、すんなり帰宅する子がいれば、遊び足りないと園庭で遊んで帰る子もいる。

 慣らし保育期間中の降園は十一時半。もうすぐお昼ごはんの時間帯なので、今はみんなすんなりと帰宅するけれど、これが五月の連休明けて本格的な保育になれば、降園時間は十五時にまで延びる。

 お迎えの大半が帰宅して、まだお迎えが来ない園児たちの中には不安そうな表情を浮かべる子も少なくない。一人、また一人とお迎えが来て、残る園児はただ一人となった。
< 11 / 305 >

この作品をシェア

pagetop