私の彼は、一途な熱血消防士

怪我と告白と 5

 幼稚園に電話を架けると、受話器を取ったのは園長先生だった。

「もしもし、西川です」

『愛美先生!? 具合はどう?』

 スマホのスピーカーから、園長先生の心配する声が響く。

「ご心配をおかけしてすみません。火傷はとにかく冷やして数日は経過観察とのことで、背中は打撲でした」

 医師から告げられた診断結果を伝えると、スピーカーからみんなの安堵する声が聞こえた。どうやら園長先生も、固定電話のスピーカーボタンを押して、みんなと一緒に聞いているようだ。

『そう……。火傷もだけど、骨に異常がなくてよかった……。しばらくは安静にしなきゃね。それで、診断書は取った?』

「診断書、書いてもらいました。後で持って行くので、お手数をおかけしますが、労災の手続きをお願いします。それと、痛みが引くまでは、幼稚園をお休みさせていただきたいんですけど……」

『休まなきゃダメよ! 火傷もだけど、背中も強打してるんだから痛むでしょう? 今週いっぱいはお休みして養生したほうがいいわ』

 園長先生から仕事を休むように促されたので、私はその言葉に甘えることとした。
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