私の彼は、一途な熱血消防士

一難去ってまた一難 6

 十二月に入り、幼稚園ではクリスマス会を開催するため、遊戯室で出しものの練習が始まった。

 男の子と女の子で、一曲ずつダンスを踊る。それに加えて劇もする。年長さんはダンスと劇だけでなく、カスタネットや鈴、トライアングルを使って合奏もするのだ。

 これまでの成長を見てもらおうと、クリスマス会当日は参観日形式で保護者さんへお披露目することになっているので、園児たちも職員も気合が入っている。

 そして、事件が起こったのは、クリスマス会を翌日に向かえたある日のこと。

 この日も午前中、遊戯室でクリスマス会の通し練習をしていた。園児たちの衣装も、園児の体型に合わせて職員がひとつひとつ手作りしており、園児たちも本番でそれに袖を通すことを楽しみにしていた。

 職員力作の衣装は、毎年遊戯室のステージ袖の倉庫に保管するのが慣例となっている。けれど明日が本番ということもあり、ギリギリまで教室で衣装を着て練習していたので、降園前に衣装をみんなから回収して、後で舞台袖へ運ぶ予定になっている。

 倉庫には歴代の先生方が毎年制作された衣装もそこに数着ずつ保管してあり、我々もそれを見て、毎年衣装作りの参考にしていた。
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