アイドルの妹だからってイジメないで
壁ドン状態のお母さんの胸を、両手で力いっぱいに押す。
後ろにふらついた隙をつき、お母さんのそばを離れた。
距離を取り、私は挑発するような冷たい声を放つ。
「妹だって世間にバラすようなことはしない。お兄ちゃん達を困らせたくないの。でも、お兄ちゃんたちには話すから。一緒に住んでいた頃に、お母さんが私にしてきた酷いこと全部」
「フン、言えばいいわ。どうせあの二人は信じない。お母さんね、結婚するまで演劇をやっていたの。家族をダマせるくらいの演技は習得ずみなんだから」
ちょっと脅したくらいじゃ、ひるまないか。
「お母さん教えて! なんで私はお母さんに嫌われてたの? 幼稚園児の私が何かした? オモチャ買ってって、お店の床に寝転んで大泣きしたとか」
「フッ、お店で大泣きね。お母さんに好かれたくて必死だった虹湖が、そんな下品なことするはずないじゃない」
「じゃあなに? 私の何がいけなかったの?」
「それはね」
「……」
「虹湖の顔が、みにくすぎたのよ」
……え?
……私の顔?
「あの女に似たいまいましい笑顔。虹湖が生まれた次の日には、病院にあなたを置き去りにして帰ってやろうと思ったわ」
あの女?
ちょっ、ちょっと待って!