アイドルの妹だからってイジメないで
「さっ、ライブを観ないで帰ってちょうだい。アヤとネオンの前にも一生現れないでね。もちろん、私の前にもね」
アハハと高笑い響かせるお母さんが、私の腕を引っ張ってドアの方に連れて行こうとしたその時
「脅迫現場の証拠、俺のスマホに収めたから!」
低くて男らしい声がリハーサル室を駆け抜けた。
「暴行や育児放棄の罪にも、問えるんじゃね?」
カーテンがかかっているドアが開き、目を吊り上げた男の子がリハーサル室の中に入ってくる。
「だっ、誰よ!」
「虹湖と幼稚園が一緒だった俺のこと、覚えてない?」
「あなた虹湖の友達なの?」
「俺は勝手に幼なじみだって思ってるけど」
「……それって」
「まぁあんた、幼稚園でもいい母親を演じるのに必死だったよな。あの時から、うさん臭い大人だなって思ってたんだ」
えっ? ウソ? ちょっと待って?
どうして勇大がここにいるの?