アイドルの妹だからってイジメないで
お母さんが、涙をそで拭いながらリハーサル室を出た。
コンサートスタッフとして、本番前にやらなければいけないことがあるみたい。
お兄ちゃんたちも
「そろそろ衣装に着替えた方がいいな」
「虹湖、本当に悪かった。家族のことは今度ちゃんと話そう。俺たちのライブを思う存分楽しんでね」
私の頭をぽんぽんしてから、焦ったように駆けて行っちゃった。
部屋に残ったのは私と勇大だけに。
ライブスタートまで、まだ時間はある。
勇大に聞きたいことも山ほどある。
「ねぇ勇大、ちょっと話せるかな?」
「ああ」
ロビーに出た私たち。
3人掛けソファに腰をおろした。
お互いが座ったのはソファの端と端。
人一人分の空きスペースが間にあるのは、物理的な距離としては最適なはず。
それなのに、なぜだろう?
勇大と密着しているわけじゃないのに、心臓が飛び跳ねちゃうんだ。