【コミカライズ原作】Re:活 前略旦那様 私今から不倫します
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誠が出張だと言って、出ていった土曜日。
沙羅はペタルアトリエのカフェコーナーに立ち、自分が選んだ茶器とテーブルクロスに目を落とした。
工芸茶が映えるガラスのポットは、舌だけでなく目にも幸福をもたらしてくれる。
この店で提供すべきものは非日常でのひとときの安らぎなのだと、辻村が語った言葉を思い出す。裏方で働く身としては、楽しむ側ではなく楽しませる側なので、きついこともあるが、それ含めて充実した仕事だった。
テーブルクロスは、ナチュラルなリネン素材で、淡いモーヴ色が花々の色と調和している。お客様の属性によって、食器を変えるなどきめ細やかなサービスをしていた。
気づく人がいなくても、そういう気遣いがまたの来店を促しているように思う。
正社員の件は引き受けようと思い始めていた。誠に女性の影がちらつく以上、もしもの時に備えて経済力も必要になる。
本気か遊びかわからない。
──どうして私は何も言えないんだろう。
家にいたら誠への疑念で胸が押しつぶされていただろう。なにも解決してくれないとしても、美しいものは人の心の支えになる。
同時に、こうやって見ない振りをすることで、表立って波風を立てずとも、自分の中でなにかが死んでいくのをひしひしと感じている。
──向き合っていないのは自分も誠も同じなのかもしれない。けれど今向き合って、自分が壊れずにいられる自信がない。
問い詰めて、女性と別れてもらって許すのか。それとも許さないで離婚するのか。
自分のことなのに、現実味を感じない。
そもそも本当に誠は不倫しているのだろうか。自分の被害妄想ではないのか。
ぐるぐると回る思考を止めて、仕事に集中する。
カフェのスタッフがお湯の温度を丁寧に確認して、ポットに注ぐ姿は様になっていて、わざわざ遠くまで足を運んで選んだ甲斐があったなと思う。
季節ごとにインテリアの配置を変えて、常連客にも飽きさせない工夫がしたい。どんなふうに店内を彩ればいいか、頭の中で思いを巡らせる。