【コミカライズ原作】Re:活 前略旦那様 私今から不倫します
大学は行かずに働くという沙羅に、お金はどうにかするからと進学を勧めてくれた。結局返済不要の奨学金を勝ち取って、なんとか大学へは進めたが、心の奥に傷ついた子供のままの自分がいる。
大学に入り、ほんの一時サークルにも入ったが結局バイトが忙しくてすぐにやめてしまった。
それに、なんだか同年代の子たちが眩しすぎていたたまれなくなって逃げるような気持ちもあった。
地方から東京の大学に来るような子は皆裕福で、深刻な悩みなんて誰一人抱えていなそうだった。
一人でいる時より、そんな学生たちに囲まれてワイワイしているほうが余程孤独を感じたものだ。
辻村に声をかけられ時々二人で会うようになったのは、そんな頃だった。
学生のうちにアフリカに行きたいという辻村に、帰国したらまた会いたいと言われ一度だけキスをした。
けれどその後連絡はなく、一度だけ送ったメールにも返事は来なかった。
始まりもせずに終わった淡い恋だった。
恋愛だったのかもわからない。
ただ従業員に親切にしているだけとわかってはいても、心に隙間風が吹く今、親しくしすぎるのは危険だと思った。
──辻村さん、まだ待っていてくれているのかな。
ただの従業員の沙羅のために仕事を抜けて、車を出してくれた。親切にしては少し度が過ぎている。噂好きのパートさんになにか言われるかもしれないと思う。
[終わりました。電車で帰るのでご心配なく]
[まだいるから、待ってて]
すぐに辻村が病院の近くまで迎えに来た。