幽霊になったあの日から恋をして
毎日、毎日。
私達は作戦会議をし、予定日まで決め、最終確認まで行ったところだった。
「ただい...」
「おかえり。お姉ちゃん?」
え?なんで夢華が...
それより...おかえりって言われるだけで、こんなに嬉しいんだ...
でも、なんだか嫌な予感がする。
「お姉ちゃん。お話があるの。奥に来てって。ママが言ってたよ?」
「は、い...」
「そんな怯えなくていいのに。ねぇ。」
早く行こう...早く行かなきゃ、お母さんにどんな事されるか分からない...
「って、もう聞いてないか。ふふっ。可哀想っ!」
段々暗くなっていく。これは、ここらへんの部屋を大切にしていない証。
ここだけ明かりがついている。
ここにお母さんがいる。
粗相のないように...気を立たせないように。
「やっと来たわね。」
「申し訳ございません...」
「早くして。遅いから話をするわね。」
「はい...すみません...」
どんな話だろう...もしかして私を捨てるとか...?
「夢華に婚約者ができたわ。」
「えっ?」
「相手はあの有名財閥、黒瀬家の黒瀬優さんよ。」
「えっ?!あの黒瀬家?」
「話をさせなさい。そうして、黒瀬家の皆さんと1ヶ月間一緒に住むことになったの。」
「え...?」
「だから、黒瀬家の皆様に夢華のいいところを見せなさい。」
「...」
「わかったかしら?」
苛ついた口調で言われる。
「はい...」
「はやく帰って。」
静かに立ち上がり出口に向かう。
「失礼いたしました。」
そう言い残し私は部屋から出る。
「あぁ...私も夢華みたいに幸せになりたいなぁ...」
ほんとに小さな声で言い、その場を去っていく。
まさかあの人に聞かれてたなんて私は思いもしなかった。
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