幽霊になったあの日から恋をして
私達の隠し事

嵐が来る。

お母さんから、黒瀬家の皆様が来るのを伝えられてから早三日。
私は、常に上の空だった。
「...で、って彩ちゃん聞いてる?」
「あ、ごめん。なんの話だっけ」
海が顔を曇らせる。
「...ごめん。」
「怒ってはいないけど...彩ちゃん最近ずっとそうだよ?」
「うん...」
「...なにかあったの?」
「...うん」
なんで私はいつも隠し事とかできないんだろ...
「教えて?僕で良ければ、多分力になるよ?」
「その、妹があの黒瀬財閥の、優様と婚約するかもしれなくて...」
「へぇーあの財閥、まだ続いてたんだ。」
「それで、体験みたいに、黒瀬家のみなさんが一度笠音家に来るそうなの。」
「...。」
「それで、黒瀬家の皆さんにも冷たく反応されるんじゃないかと思ってて...」
「なるほど...。」
珍しいな...海が悩んでるなんて
「そうだ!彩ちゃんいじめられたら、これを言って?」
そう言って、海が私の耳に近づいて小さな声で言う。
「ごにょごにょ」
「...っえ!」
「これを言えばなんとしてでも黒瀬家は、困惑し、隠そうと思うから、そのときに条件を提案して?彩ちゃんが、幸せになれる条件を」
「確かに...。でもなんで黒瀬家はあんな事してしまったのかしら...?」
「気になるなら、条件で聞いてみたら?僕はそこまで知らないからね〜」
うん。そうしよう。
私は黒瀬家の秘密を抱えながら、黒瀬家の皆様が来るのを待っている。
私の心は今、あの空のように清々しい気分だった。
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