衝撃サイダーマン
「檸檬。怪我はないか?大丈夫か?」と優しい声で星夜さんが話し掛けてきた。

「ふぅ〜。怪我はしてませんよ。
ただまさか銀行を休んで会社で待ち伏せするなんてやっぱり異常ですよね。」

「きっと今頃、ママに電話でもしてるかもな。
今後、諦めて転勤先で仕事頑張ってくれって感じだな。」

「ええ。でも畑山さんの身辺調査してたなんてびっくりしました。
お見合いで実家の事話しをしてたかもしれませんが、私も真剣に聞いてなかったのでまさかウチの会社の取引先とは思いませんでした。」

「実はさ〜 兄貴はアイツを本気で潰そうとしてて、身辺調査も兄貴がしてくれたんだよ。」

「畑山さんを潰すって?どういう事ですか?」

「例えば、予告なしでアイツの実家との取り引きを打ち切るとか〜
親父を使ってバナナ銀行の頭取の権限で左遷降格とか〜? 警察に届けて裁判するとか〜」

「どれも出世街道から外れるって事ですか?」

「ああ。親父が頭取に電話した時点で逆恨みされたら困るから通常の転勤にしてもらったらしいけど、アイツはもうバナナ銀行の本店への栄転はないし、転勤してもそのうち一般企業へ出向して銀行へは戻れないと思う。」

「……もう二度と会いたくないし、関わりたくないので良かったと思いますが、今日の事で変な仕返ししてこないか心配です…」

「アイツはズル賢そうだから、もう檸檬を諦めると思うけどな」

「そうであって欲しいです」
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