彼をその気にさせる方法~ヤツと私の甘恋戦争。そう簡単には勝敗つきません~
「それより主任とは進んだ?」

甘々のアイスカフェオレをストローの必要性がないほどズズっと勢いよく吸い込んだ。

「進むわけないじゃない」

テーブルに置いたグラスを握りしめる。

「私の所に千波を探しに来た時は血相変えてたけどね〜」

あの時の私の不自然な態度に課長は届いたメール見て蒼真に至急連絡したらしい。

「罪の意識で血相変えたんじゃない?」

どんどんムカついてくる。

退院時に迎えに来た蒼真といつものように喧嘩してそのまま璃子のマンションに来た。

「心配してると思うけど…じゃあまた何か作戦練っちゃう?」

璃子の脳内分布図を考えるとロクな事を考えてはないはず。


ーーピンポン


「荷物届いたわ」

「また何か買ったの?彼氏に怒られるよ」

残りのカフェオレを飲みきって部屋中に山積みの洋服と装飾類に目をやる。

「自分の給料内なんだから良いじゃない」

ブツブツ愚痴ってリビングを出て行った璃子は足早に何も抱えず戻って来た。

「千波悪いけど手伝って」

「もう、病人だって」

渋々立ち上がり玄関に向かって唖然とした。

「お前は本当にアホか?帰るぞ」

「璃子!!はめたわね」

「私は心配して…さぁ千波早く帰って」

背中を押され手持ちのバッグと蒼真諸共追い出された。

「たまには言う事聞いてくれよ」

さっきまでの態度とは違い本当に困った言い方。

「何で聞く必要あるのよ」

ムスッとした顔で後ろを歩く。

「治ったら…合コン行ったり新しい職場で素敵な上司と大恋愛してやる」

蒼真の背中にブチブチ文句を言うと歩く足が急に止まった。

「急に止まんないでよ」

クルっと蒼真は振り返って私を一気に横抱きにして歩き出す。

「ちょっ!!蒼真?恥ずかしいって」
「黙れ」

聞く耳持たない蒼真の顔は凄く怒ってる。

「お前がその…他の男の話するとムカつくんだよ!」

「何それ…ヤキモ」
「違う」
「じゃあ何よ」
「千波がとにかく悪い」

怒ってるはずの顔が赤い?
耳なんて真っ赤

「蒼真がその気になるスイッチってヤキモ…」
「だから違うって!」
「堂々巡りで面倒臭い」
「分かったよ!」

抱えられて乗るエレベーター内で…

「千波、好きだ」

不機嫌なのか機嫌が良いのか分からない声が聞こえて上を向く私の額にキスをする。
私はニコッと笑って蒼真の首に手を回した。

「今度は蒼真が私をその気にさせたら付き合っても良いよ」

私が最初に出された条件。
あれがなければ今こうしてるか分からない。

「上等。すぐにその気にさせてやる」

ニヤリと笑って「覚悟しろよ」と囁き文句を言う暇も与えさせてくれない優しいキスをした。

「蒼真、課長から最後にプレゼント貰ったんだぁ〜」

わざと上目遣いで蒼真を見ると眉間にシワを寄せる。

「ふふふ…私が課長とホテルに泊まるってメール届いたんでしょ?」

「あの人何で言うかな…」

「蒼真はいつ私を好きになったんだろうねー。もしかしてピンクのブラ見た時から?」

だいぶ昔に感じる一緒に入ったお風呂を思い出す。

「あんな色気も何も」
「はぁ?!」
「いつでも良いだろ。そんなの分かんねぇよ」

私と蒼真の戦いのゴングならぬベルは鳴り響く。

「お前絶対帰ったら覚えとけよ」
「覚えません」

結局その後…すぐに決着が着いたのは言うまでもない。
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