年上幼馴染の一途な執着愛

朝食

*****


「おはよー……」

「おはようユウちゃん。あけましておめでとう」

「あけおめ……」

「あら、どうしたの? 元気なさそうね」

「ちょっと寝不足で……」

「あら、夜更かししたの? ちゃんと休める時に休まないとダメよ? 今日はちゃんと寝なさいね」

「はぁい……」


どうして私は新年早々あくびを噛み殺しているのだろうか。
……一睡もできなかったからに決まってるだろう。


「これも全部日向のせいだ……」

「なに? 何か言った?」

「んーん。なんでもない」


不思議そうに首を傾げるお母さんに慌てて首を横に振ると、


「そう?」


なんて言いながらおせちに視線を戻した。



昨夜、日向と年越ししようと言って部屋に招き入れた。
そしてお酒を飲みながら来年はどんな一年にしたいかなんて話をして。

そして、なぜか。……キス、されてしまったのだ。
唇を指で撫でると、そんなわけないのに僅かに熱を持っているような気がしてしまう。

兄のように慕っていた人からの突然のキスは、私を硬直させるには十分すぎるほどだった。

昨夜、私にキスをした日向は唇を離すとゆっくりと私の頭を撫で、


『おやすみ』


と言って部屋を後にした。

その照れたような表情が、いつも知っている日向の顔ではなくて。
嫌でも男の人だということを意識させられた。
私は何が何だかわからなくて、たっぷり数分はその場から動けなかったと思う。
もしかして、お酒飲みすぎておかしくなった?
誰かと勘違いしたとか?
いやいや、日向はそんな人じゃないし、第一お酒には強くてあまり酔えないタイプ。

じゃあ、あのキスは一体……?

正気に戻った時には自分でもわかるほどに赤面してしまう。
そんな中学生みたいな反応をしてしまう自分に驚いた。
結局私はそのまま一睡もできず、朝を迎えたのだ。
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