可愛げがないと捨てられた天才魔導具師は隣国でのんびり気ままな工房生活を送ることにしました!~念願の第二の人生、思う存分ものづくりライフ!~
「間に合って良かった!!」
ルシアは突然のことに茫然自失だ。
「……えっと……これは……」
「ファクト子爵家に改めて挨拶へ向かったところ、君は療養に行ったって聞いたから。でも、行き先は教えてくれなくて……探していたら遅くなった。ごめん」
カイルは、さらに強くルシアを抱きしめる。
カイルの体は戦ったせいなのかホカホカと暖かい。松脂の香りが立ち上り、ルシアは安心した。
(挨拶ってどういうこと? でも、こんなふうに抱きしめられたのは、お父様が旅立った日以来ね。お父様の松脂の香りがしみこんでいたっけ……)
カイルが追いかけてきてくれたことを不思議に思いながら、ルシアは久々に感じる他人の体温にホッと体の力を抜いた。そして、オズオズとカイルのシャツを掴む。
カイルは一瞬ビクリとして、キュッと腕に力を込めた。