可愛げがないと捨てられた天才魔導具師は隣国でのんびり気ままな工房生活を送ることにしました!~念願の第二の人生、思う存分ものづくりライフ!~
シグラ王国出身のカイルも厳しい顔をしている。
「そうか、ここは鉄鉱山だとばかり思っていたけれど、魔晶石がこんなに取れる山だったのか。シグラ王国では魔導具が普及していないから、大規模調査をしたことがなかったんだけど……。だからといって盗掘して良いわけではないよね」
「ジューレ侯爵家は、なんてことしてくれたのよ……」
頭を抱えつつ、婚約破棄されて良かったとホッとする。あのまま婚約していたら、間違いなく責任問題が降りかかってくるだろう。
そして、その問題をルシアになすりつけるところまで容易に想像ができた。
「キュキキ」
カーバンクルに声をかけられ、細い坑道のその先に進んだ。
するとそこにはひとりの男が、険悪な顔をしたドワーフに囲まれて作業をしてた。
ヒゲも髪も伸び放題で、ボロボロにやつれている。黒い髪が耳の上だけ白髪になり、黒縁の丸い眼鏡は曇っていた。
ルシアは、少し気弱で優しげな面立ちに懐かしさがこみ上げてくる。