先輩!
世界から遮断された。


そう錯覚してしまうほど、音という音が、何も聞こえなくなった。

全くの無音の中、どくん、どくんと、激しい心臓の鼓動だけを感じる。



「芽衣、芽衣」

虎太郎に肩を叩かれはっと我に返った。


野口さんが電話を切り、部長と短く言葉を交わし、それぞれどこかに電話をかけているのをぼんやり眺めた。

それから、カバンを持った野口さんがわたしの方に走ってきた。


いつも明るい太陽のような野口さんが、土気色に覆われた顔色で、わたしに言った。

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