先輩!
夜間受付で先輩の名を告げ、案内されたのはHCUという高度治療室だった。


先輩が運び込まれた大学病院では、ICUは主に術後の患者、HCUは救急搬送された患者を治療する場所とのことだった。


ただ、白いカーテンで仕切られたそこに、先輩の姿はなかった。

無人のベッド。無人どころか、ビシっと整えられていてシワひとつなく、人が使った痕跡がない。

枕元に電気の通っていない無数のモニター。


先輩の名前、今日の日付と恐らく運び込まれた時間。交通事故と書かれたホワイトボードが取り残されたように壁にぶら下げられているだけだった。

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