先輩!
わーわー。

気まずい。恥ずかしい。どうしよう!


先輩のご両親との初対面でキスを見られるなんて。ふしだらな小娘だと思われたらどうしよう。


ご両親になんとか会釈をして、すぐ先輩の隣を離れ場所を譲ろうとするも、先輩が手を離してくれず身動きが取れない。


「ここにいて」

ぎゅ、と手を握られ、ジタバタするのをやめた。


「心配かけてごめん。命に別状はないから。で、俺の彼女の佐々木芽衣さん。さっきプロポーズした。俺この子と結婚するから」

「はじめまして。せんぱ、翔さんと結婚させていただいてます」

「芽衣、日本語」

「お付き合いさせていただきます」

「それも違うって。な、かわいいだろ?俺の奥さん。芽衣のこと、好きで好きでしょーがないんだ」


先輩そっくりな素敵なお父様が、はは、と声を出して笑い、お母様も涙を流して笑われている。

先輩が無事でほっとしたのだと思うと胸が締め付けられる。


「そうか。結婚か。おめでとう。ケガは?」

「バカ痛いけど生きてる実感湧いてちょうどいいわ」


この時の大パニックを、先輩のご両親に何年経っても笑われることになるなんて、この時はまだ知らない。
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