先輩!
「いや佐々木はこっちだろ」

「えー」

「えーじゃねえよ」

「お前らほんと見てて飽きない。名コンビだな」


会社の最寄り駅近くの居酒屋に適当に入った。

半個室で、のれんで仕切られた4人掛けのテーブル席に案内され、野口さんの隣に座ろうとして先輩に腕を引っ張られた。仕方なく先輩の隣に座って、メニューを二人に向けた。


「野口さん何飲まれます?」

「ウーロン茶」

「えー飲まないんですか?」

「今日はちょっとね。佐々木さんと久保は?」

「先輩は生ビール2杯のちハイボールのちワインのち、のエンドレスですよね。わたしも生で」

「よく知ってるね佐々木さん。さすがよく2人で飲みに行ってるだけあるね」

「こいつすぐ俺に奢らせるんですよ」

「ははっ。そりゃこんなかわいい後輩に先輩~なんて言われたら奢る一択だろ」

「やだ野口さんかわいいだなんてそんな」

「お世辞だ」

「もう、なんで先輩がお世辞とか言うんですか」


ニヤニヤと笑う先輩に小言を言いながら、備え付けの端末を操作して飲み物と料理を注文した。
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