先輩!
わたしは、前に進みたい。

いろんな先輩を見たい。知りたい。もっと好きになって、愛したい。愛されたい。


「芽衣が先に行って。俺はもうちょっとここにいる」


玲央が私の背中を押す。玲央の涙は止まったようだ。


「どうせすぐ、同窓会とかだれかの結婚式で顔合わせるよな。その時は笑えるようになってるから」

「うん。…玲央、先生、がんばってね」

「ありがとう。芽衣も」

「ん、」

「芽衣ありがとう。俺が今も教師続けていられるのは、本当に芽衣のおかげ」

「玲央…」

「今まで言えなくてごめん」

「ッ…」

「ほら、もう行けよ」


わたしもありがとうって言いたい。言いたいのに、言葉が、言葉を返したいのに嗚咽で言葉が出ない。


振り返りたくなる気持ちを抑え、ハンカチで涙を押さえながら改札を通った。
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