先輩!
「芽衣意外と頑固だから、一回決めたらそう簡単に考え変えないってわかってる。でも今足掻かないと後悔する。後悔はもうしてるけど」


きっとわたしたちの横を、何人もの人が通り過ぎてるんだと思う。

駅のこんな場所で、こんな人のいるところで抱き合うなんて考えられない。それなのに、玲央の腕を振り払えない。


「玲央ごめんね。今までありがとう」


本当に、本当に、大好きだった。

最後は笑顔で別れようなんてきれいごとは言えない。玲央もわたしも、涙で顔がぐちゃぐちゃだ。


あなたに別れを告げられてから、何日も何日も泣いて夜を明かした。

日中は忘れていられた。先輩に指導してもらいながら、一生懸命仕事に取り組んだから。

慣れない仕事が徐々にこなせるようになってきて、仕事が楽しくなってきて、いつの間にか夜涙することがなくなった。


今も先輩に助けてもらいながら、先輩の背中を見て、四苦八苦しながら一生懸命がんばっている。
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