compact
「私は、龍くんのコーヒーが飲めたら
それでいいから。
彼女のこと、
大事にしてあげなきゃだめ。」

龍くんが泣きそうになって…
私が励ましていた。

「龍くん…ここにはもう…
来ない方がいいよ。」

自分勝手なことをした。
恋人が居なかったらよかった、
という話でもない気がする。

この、名前のない関係。

龍くんは相変わらず
泣きそうになっていた。
「帰るね…。」とだけ聞こえた。

私は見送ることもしないで、
遠ざかる足音を耳でだけ追った。
閉まるドアもドアの向こうの
聞こえない足音も。
< 23 / 28 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop